インフルエンザワクチン 平成23年度版 平成22年版21年度版

 


今季のインフルエンザワクチン接種は10/1より接種開始し、2/25にて終了しました


インフルエンザ検出状況  (厚労省の報道発表、 国立感染症情報センター、 愛知県衛生研究所、 名古屋市感染症情報センター

  今季のインフルエンザの流行が、全国的に報告されています。9月下旬に山口県ではインフルエンザウイルスAH3亜型(香港型)で幼稚園が臨時休園しています。10月25日都練馬区の小学校で、6年生の学年閉鎖が報道されました。

 名古屋でも、9月下旬から中川区、港区の保育園で散発的流行が始まり、10月に入る昭和区、熱田区、西区保育園・幼稚園、昭和区の○○病院内託児所、10月中旬からは名東区の小学校A型の散発的流行、天白区成人女性がA型稲沢市の小学校B型が、11月に入ってからは、南区、昭和区、長久手町、名東区(高針、貴船)、春日井市などで小流行が相次いで報告されています(愛知県小児科医会ML、名古屋市小児科医会ML、名古屋市医師会MLより)

 10月1日、当院でも、5歳女児(昭和区○里保育園)でA型インフルエンザが今季初めて検出されました。同保育園では、インフルエンザが集団発生している模様です。このため新聞報道はされていませんが、名古屋でもすでに局所流行は始まっていると思われます。その後、当院では、インフルエンザ陽性はありませんしたが、12月7日、7歳男児(名東区蓬○小1年)のインフルエンザAを検出しました。同学校では12月初めよりインフルエンザの小流行が始まっていたそうです。12/7〜12/10で当院だけで、蓬○小学校1〜3年生6名のA型患者がありました。いずれも、家族感染がないため、学校内での感染と思われます。インフルエンザワクチンを2回接種済みが1例ありましたが、他の5例はすべて、ワクチンは未接種でした。いずれもタミフルもしくはリレンザを投与しました。
 12/12〜12/17の週は、当院では12例(A型11例、B型1例、年齢 2〜32歳)のインフルエンザ陽性患者さんがありました。いずれも、当院に近い蓬○小、北一社小、平和が丘小、よ○ぎ幼稚園に通っている子供さんでしたが、B型の1例のみは成人女性でした。今季インフルエンザワクチンを受けているかも聞き出しましたが、2回接種が2例、1回接種が2例、未接種が8例でした。発症から48時間以上経過した1例を除き、タミフルDSもしくはリレンザを投与しています。
 12/19〜12/24の週は、当院では8例(A型7例、B型1例、年齢 2〜16歳)が陽性でした。いずれも当院に近い小学校、幼稚園、保育園にお通いの子供さんでした。B型の1例は、その前の週にB型を罹患された母親の子供さんでしたので、家族内感染と思われます。ワクチン接種2回済み2例、1回1例、残りの5例は、未接種でした。いずれも、タミフルもしくはリレンザを投与しました。
 
12/25(日)は、名東区医師会休日診療所の当番で出務してきましたが、先週の12/18より患者さんが急増していて、本日は約70名余りの患者さんが来訪されました。風邪症状が主体の来院でしたが、嘔吐下痢症、水痘もありました。インフルエンザが疑われた患者さんには迅速検査を施行しましたが、約半数以上の20名でA型陽性で、小学校高学年〜中学生が主でしたので、リレンザを投与した症例がほとんどでした。年末年始の休日診療所は混雑しそうです
 12/26〜12/28の週は、すでに帰省された子供さんも多くて、インフルエンザを罹患された患者さんは激減して、当院では4名(すべてA型)でした。この週の患者さんは、5〜12歳に分布していて、全員が保育園・幼稚園・小学校に通学されていて、す今季のインフルエンザワクチンを全員接種されているのに罹患されていました。

 平成24年1/5〜1/7の週は、診療日数は3日にも関わらず、8名(A型7名、B型1名)の患者さんがありました。3〜10歳の子供さんで、7名の患者さんはワクチンを接種済みで、保育園・幼稚園・小学校に通学されていました。未接種の1例(3歳男児)は、保育園・幼稚園にも入っておらず、家族も未発病であり感染源は不明でした。
  1/10〜1/14の第2
週は11名(すべてA型)、1/16〜1/21の第3週は急増して50名(すべてA型)の患者さんがありました。年齢は3ヶ月〜32歳まで分布していますが、当院では4〜9歳が主体で、ほとんど保育園・幼稚園・小学校に通園・通学していて、そこでの感染が主体ですが、家族内感染例も多くなりつつあります。感染児の多くはインフルエンザワクチン未接種の方でしたが、2回接種の方も18名みえました。当院では今季は重症例(肺炎・脳症)はまだ経験していません。
 1/23〜1/28の第4週は64名(すべてA型)、年齢は5ヶ月〜38歳まで分布、6歳と12歳に2峰性のピークがありました。ワクチンを1回ないし2回接種されていた方は33名、未接種は31名でしたが、接種されている方は軽症で済んでいる方が多かった様です。抗ウイルス剤は、年齢および日数逸脱がそれぞれ1例ずつ不投与と希望されない方1例を除き、ほとんどの方がタミフル・リレンザの投与を希望されました。
 1/30〜2/4の第5週は、41名(A型40名、B型1名)やや減少傾向を示しており、当院では第4週にピークがあった様です。5ヶ月〜35歳まで分布しています。この内、ワクチン接種済みの妊婦1名も含まれています。B型を発症した女子大生は、TOEIC試験を受けに行って感染した様でした。
 2/6〜2/10の第6週(祝日があったため診察日数が1日減)は、24名(すべてA型)と当院では激減していますので、ピークは過ぎたと思われます。1歳〜42歳まで分布していましたが、多くは7〜12歳の小学校生でした。以前と違って、ほとんどの方が抗ウイルス剤を希望されます。1回吸入で済むイナビルは、小児・学童には吸入に失敗した時のことを考えて当院では投与していませんが、内科系では小学校低学年の子供さんにも出してみえて、熱が下がらないため、当院に再受診された方もみえました。
 2/11(祝日)は、名東区医師会休日診療所に9時〜5時まで出務して参りましたが、名東区医師会では成人を合わせて今季最高の113名の来院があり、2時間待ちだと患者さんに言われてしまいました。成人も入れて80名のインフルエンザ迅速試験をしたところ、40名が陽性で、そのうち2名がB型でした。これから、B型が流行しそうな状況です。

 2/13〜2/18の第7週は、27例(A型25名、B型2名)と人数はほぼ横ばい傾向でした。年齢は1〜44歳まで分布していますが、3〜6歳と10〜14歳にそれぞれピークがありました。ワクチン未接種12名、1回のみ4例、2回11例でしたが、やはり、ワクチン接種されている方は軽症で済んでいる傾向です。家族内感染例が多くなっていますのでご注意下さい。
 2/20〜2/25の第8週は、19例(A型15名、B型4名)と、大幅に減少傾向です。ただし、B型が微増中ですので、まだ安心は出来ません。また、2/22には当院近くの北一社小学校2年で学級閉鎖がありました。
 2/26〜3/3の第9週は、6例(A型4例、B型2例)と大幅に減少、3/5〜3/10の第10週は、5例(A型4例、B型1例)3/12〜3/17の第11週は、B型1例3/19〜3/24の第12週B型2例となりました。
 ピークは過ぎたと思われますが、まだB型が検出されていますので、うがい・手洗いなどを心掛けて下さい。



学級閉鎖情報 名古屋市公表) (愛知県公表
 当院からは少し離れていますが、名東区極楽小学校6年は学級閉鎖(12/7、12/15)になっています。学級閉鎖にはなりませんでしたが、当院近くの名東区北一社小学校と蓬来小学校は12/16は午後の授業を打ち切って下校させたとの情報です。、一段と寒さが身にしみる季節となり、インフルエンザの流行期に入っていますので、くれぐれもご注意下さい。冬休み中はしばらくは小康状態でしたが、正月あけの1月第3週から、大流行に入ったと思われます。当院の近くの名東区のa光幼稚園(
1/17)、香流小学校(1/24)は学級閉鎖に陥っています(名古屋市公表)。

 愛知県ではインフルエンザ患者数が急増しているため、12月7日にインフルエンザ注意報12月21日にインフルエンザ警報が発令されました(流行マップ)。


 当院は開業以来、基礎疾患のない健康な子どもさんへのインフルエンザワクチン接種はそれほど積極的には勧めてはいませんでした(理由は、その年に流行するインフルエンザ株の予想が以前は外れることが多かったためと、日本の接種量が少なすぎて充分な抗体が産生されにくい状況にあったため) しかし、その後、インフルエンザの流行株の予測精度も上昇し、2004年夏には米国小児科学会のインフルエンザワクチン接種勧告の改訂(健康な小児にもインフルエンザワクチンの接種を勧める内容)がされたため、平成17年度からは、当院も健康な小児と成人にもインフルエンザワクチン接種を行っています。 インフルエンザワクチンの接種は10月1日から、コンピュータ予約で2日前から予約可能です。事前予約は不要で、コンピュータ予約で通常通り予約して下さい。

 今年から、インフルエンザワクチンの接種量が欧米と同量(後述)に引き上げられました。また、北里第一三共ワクチンの埼玉県の工場が一部被災し、さらに一部生産品に鶏の「トリレオウイルス」の混入があったため、当初年間供給計画の約478 万本(1mL 換算)に対し、約半数の236万本が廃棄処分となりました。すなわち10月分の出荷はないことと、それ以後は検査中で11月以降の出荷も不明です(新聞報道厚労省見解)。このため、今年は厚労省はほぼワクチンは足りるはず発表していますが、現場ではワクチンの供給はタイトな状況(前年度よりも納入予定数は減少)に陥っていますので、例年よりも早めの接種をお勧めします。例年1月下旬までは在庫があることが多いですが、今季は12月の途中で一時欠品になることが予想されています。各メーカーに増産するように厚労省は依頼しましたので1月末〜2月には再度商品が流通する予定日経10/14夕刊)です当院のインフルエンザワクチンの在庫が無くなった場合は、予約システムのワクチンよりインフルエンザの項目が削除されて予約不可能扱いにします。再入荷した場合には、インフルエンザの項目を再度追加し、予約可能になります。

 今までは0歳児鶏卵アレルギーが不明なこと、日本の接種量は0.1ml/回と少なすぎて効果が期待できないため、当院では接種していませんでしたが、今年からは欧米並に0.25ml/回と増量されたため、鶏卵アレルギーの無い6ヶ月以降の0歳児にも接種します。ただし、鶏卵(特に卵白)がまだ未摂取でアレルギーの有無が不明な場合、家族歴で卵アレルギーの方がみえる場合などは、0歳児のインフルエンザワクチンは今年は見送って、ご両親や上のお子さんへの接種をお勧めします。

 今年は昨年と同様の A/カルフォルニア/H1N1株、A/ビクトリア/H3N2株、B/ブリスベン株の3株で製造されていて、これ以外の型が流行した時は効果はありません。ただ、最近はシベリアからの渡り鳥の糞便を分析して流行する型を予想していますので、ハズレは少なくなってきています。

 
 日本のインフルエンザワクチンは今季からは6ヶ月〜3歳未満は0.25ml/回、3歳以上は0.5ml/回と欧米並みに増量され、6ヶ月〜13歳未満は2回接種(免疫効果からは4週間の間隔がベター昨年までの1〜4週間隔3〜4週間隔に修正)、13歳以上は1回ないし2回接種(但し喘息や心臓病などの基礎疾患のある方、免疫状態が落ちている方、場合によっては受験生は2回接種)です。
 
 なお、当院の予防接種の予約枠が限られるため、成人へのインフルエンザワクチン接種は原則として子供さんと一緒に接種の場合のみとさせて頂いています。名古屋市の老人用補助券(1,000円)も当院でも利用可能です。なお、健保連愛知連合会のワクチン補助券は、昨年は償還払制に戻って使用ができませんでしたが、今年は「NPOあいち」経由で使用できるようになりましたので、差額を支払っての接種が当院では可能です。

 インフルエンザワクチンは、当院にかかって見える方を優先しますが、他院で接種して貰えなかった時は、本数に余裕がある時は、接種致します。 ただし、治療内容の判る資料お薬手帳・検査データなど)を必ず持参して下さい。もし、治療経過や投薬内容などがはっきりしない時や母子健康手帳をご持参されなかった時は、当院での予防接種をお断りします。


 1.インフルエンザワクチンは、現在の商品は鶏卵が製造過程で使用されているため、鶏卵アレルギーのある方は要注意です。インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーショックの発生例が報告されているため、鶏卵アレルギーのある方のインフルエンザワクチンの接種は、万一の事を危惧して当院では申し訳ありませんが、原則としてしていません緊急事態に対応可能な大きな病院で接種して下さい。 但し、卵白アレルギーのあった子どもさんでも、現在、摂取可能になった方、採血で卵白IgG(RAST)が3+以下の方は十分な問診の上、接種後30分以上待合室で様子観察することを条件に、接種します。

 2.大阪市大(小児科・公衆衛生)や日本小児科学会の調査で、インフルエンザワクチンの小児への有効率は20〜30%程度(成人は50%前後)です。このため、インフルエンザワクチン接種をしても罹ることはあります(朝日新聞のアエラ2009/10/26)の記事を参照)。日本の注射用製剤は、あくまで重症化防止用であり、感染予防には残念ながらあまり効果はありません
 
 3.欧米では、基礎疾患(気管支喘息など)のある子どもさんに、従来から積極的に接種を勧めています気管支喘息、先天奇形などで感染症に罹りやすい患者さんには、当院でも積極的にインフルエンザワクチンを接種勧めています。
 
 4.妊娠中にインフルエンザに罹患すると重症化しやすいため、妊婦・授乳中の褥婦さんにも欧米では積極的に接種を勧めています(CDCガイドラインの2004)(妊娠中・分娩後に新型インフルエンザで重症化した例 NEJM (2009/12/23) 当院では念のため器官形成期(臨界期:妊娠初期12週頃まで)を避けて、できれば妊娠12週以降で接種されることを勧めています。しかし、日産婦学会のQ&Aでは妊娠初期も接種可能・チロメサール入りも問題なしとしていますので、希望されれば12週前でも接種致します。

 より安全性の高いロメサールフリー(予めディスポ注射器に装填済)の妊婦用インフルエンザワクチン特別に製品化されています。生産量は少ないですが、例年、当院では60本程度確保できていました。 当院で妊婦健診を受けている方は優先的に接種し、妊婦健診時に接種可能です他院を受診中の妊婦さんは、今年はチロメサールフリーの妊婦用入荷が当初30本のみだったため、当院で妊婦健診を現在受けている方に限定し他院受診中の方はお断りしていましたが、10/25に追加納入でチロメサールフリー製剤をさらに25本(合計55本)を確保出来ましたので、他院で健診中の妊婦さんでも接種可能に変更しています。但し、無くなればチロメサール入りの通常品での接種となりますなお、今回の妊娠で使用中の母子健康手帳(必須)、できれば現在受診中の医療機関からの接種依頼状もご持参下さい。



 昨年は国の法律・指導により各地方自治体毎に価格が統一されましたが読売・朝日2010/07/29) (朝日新聞2010/09/22)、今年からは各医院・病院の自由料金となりました。当院は丁寧なる説明、接種後15分以上専用待合室で予防接種ガイドラインに準じて様子観察させて頂いているため、他院よりやや高めの値段設定かもしれませんが、当院の予防接種に対するポリシーもあって安売り競争には巻き込まれたくありませんので、ご容赦下さい。

        当院のインフルエンザワクチン料金  (1回当り)   接種費用(税込)
 6ヶ月〜3歳未満 (0.25ml)  (2回必要)   3,000円/回
 3歳〜13歳未満  (0.5ml)  (2回必要)     3,300円/回
 13歳以上〜    (0.5ml)  (1回)      (2回目は3,300円)   3,500円/回
 妊婦        (0.5ml)  (チロメサールフリーシリンジ充填製剤)  (1回)   3,600円/回
※ 健保組合の補助券利用時には、差額で接種可能となります


  

  厚労省HPに、インフルエンザの解説 ワクチンQ&A) H22年度Q&A) が掲載されています 

 インフルエンザの備え方(ワクチンと治療薬)日経 2010/10/15 が参考になります  

★ 朝日新聞アエラ2009/10/26)の記事に関連して、副院長日産婦医会報(H21年11月号) に寄稿した「コーヒーブレイク」を ご笑覧下さい ★ 


             平成23年 9月 4日 初版作成

             9/14、9/22、9/28、10/6、10/8、10/10、10/15、10/21、10/25、11/30、12/7、12/12、12/22、12/25
            1/9、1/22、1/29、2/5、2/12、2/19、2/26、3/4、3/24   一部追加修正

                

 
               (医) 若葉台クリニック