当院の医薬分業に対する考え方

 当院では患者の皆様にさらによりよい医療を提供するために、いろいろと他院の例も調査・検討した上で、平成10年9月より医薬分業に全面的に移行いたしました。当院でお薬をお渡しする代わりに「処方箋(しょほうせん)」をお渡ししますので、調剤薬局(保険薬局・基準薬局など)で4日以内にお薬をお受け取り下さい。  
 
医薬分業制度は欧米諸外国では一般的ですが、日本では歴史的な理由もあって、医師から薬を貰う旧態依然の制度のままでした。厚生省もこの制度を積極的に推進していますので、患者さんには一部ご迷惑をおかけする面もありますが、よりメリットが大きいと思いますのでよろしくご協力下さいませ。 

医薬分業のメリット(長所) 

1 医師の記入した処方箋の内容を調剤薬局の薬剤師が二重にチェックすることにより、より安心なシステムでお薬を受け取ることができます。当院では今まで無資格の受付嬢による調剤は避け、有資格者の看護婦によって医師の監督下に調剤していましたが、調剤ミスは皆無とは言えませんでした。今後は薬の専門家である薬剤師が直接調剤するため、より間違いが発生しにくくなります。 

2 調剤薬局では、患者さんの薬の記録(薬歴管理簿)を作り過去の副作用やアレルギーを記録しますので、同じ薬や類似薬を医師が処方した時は、医師に連絡して処方内容を変更してもらう権限を有しています。このため、医師によるうっかりミスも未然に防ぐことができます。(このためには、かかりつけ薬局を決めるべきで、安易に調剤薬局を替えるのはよくありません) 

3 患者さんが他の病院・医院で受け取った薬や一般市販薬を二重に服用していないかどうかを、医師だけではなく薬剤師も患者さんから聞き出そうとするため、二重服薬が避けられます。(患者さんが嘘を言ったり、隠されてしまうとどうしようもありませんが、二重チェックでより正確になるでしょう) 

4 医師や看護婦から聞きにくかった
薬の説明(効能と副作用)と服薬指導を薬剤師から充分に受け、薬剤情報提供書(お薬手帳)を発行してもらうことが可能になります。今までも当院では投薬内容とその説明の入った薬剤情報提供書をその都度お渡ししていましたが、さらに的確な指導を受けることができます。 

5 医師は薬価差益確保のために薬卸との煩わしい交渉をしなくてもよくなるため、
患者さんの診断・治療に専念できる精神的余裕と時間ができます。(当院では薬卸との交渉はすべて主人がしていて、どの薬にどの程度の薬価差益があるのか知らないまま、医師として患者さんに一番合った薬を出していました) 

医薬分業のデメリット(欠点) 

1 薬をもらうためには調剤薬局に行って頂く必要があります(二重手間)。 

2 当院での投薬が減ったため当院での一部負担金は減りますが、調剤薬局での一部負担金が発生するため、合計の負担金は増加します。金額は保険の種類や投薬内容によって異なりますが、数百円はアップする様です(
一部負担金のアップ)。ただし、愛知県下に住民票のある15歳未満の乳幼児・小中学生や公害認定患者・生活保護家庭の子どもさんは負担金0割で変わりません。 

3 時間外や休祭日に臨時診察をしてもらった場合、対応してくれる調剤薬局が少ない。

 

Q & A (質疑応答集)

Q1 処方箋とは何ですか?

A1 医師が診察し、病気の治療上必要とする薬剤(内服薬、頓服薬、外用薬を含む)を所定の用紙(処方箋)に記入・捺印したものです。薬剤名、服用方法(回数、食前・食後などの)、投薬日数などと共に、患者氏名、生年月日、保険証番号などが記入されています。 
 当院では受付事務員がレセプト・コンピュータ(レセコン)にカルテより上記内容を入力すると、レーザープリンターより自動的に印刷されて出てきます。この内容を医師が再度確認・捺印して患者さんにお渡しします。
処方箋は発行当日を含めて4日間有効で、それ以降は無効になります。

Q2 どの薬局でも調剤してもらえるのですか? 

A2 調剤薬局であれば、どの薬局でも調剤可能です。調剤できる薬局は
保険薬局もしくは基準薬局の看板を掲げていて、保険を利用できます。一般市販薬しか置いていない薬局やドラッグストアでは調剤できません
 だだし、処方箋に記載された薬剤がその薬局にあるかどうかは当院では分かりかねます。もし薬剤が無ければ時間はかかりますが、薬卸または薬剤師会の備蓄センターから取り寄せてくれるはずです。医師と患者にも相性があるように、
薬剤師と患者とにも相性はありますので、自分に合ったかかりつけ薬局を見つけて下さい。なお、平成10年9月8日には、当院の近隣の19件の調剤薬局の責任者の方々に集まって頂き、当院の使用している薬剤と服薬指導についての説明会を設け、面分業になっても患者さんにはご迷惑をお掛けしないように配慮いたしました。
 今回、患者さんの利便性に配慮し
当院の近くに調剤薬局(ワコウ薬局)を作って頂きましたが、当院としては特定の薬局を指定してはいませんし、してはいけないことになっています。患者さん自身に薬局を選ぶ権利があります。 
  

Q3 なぜ、医師から薬剤を貰えないのですか? 
 
A3 日本では従来、院内処方と言って、医師から薬剤を貰うのが当たり前とされてきました。これは歴史的にも
日本独特の風習で、欧米の先進諸外国では古くから医薬分業でした。薬剤の調合、薬剤説明、服薬指導などを専門の薬剤師に任せることで、医師は患者の診断・治療に専念できるようになります(上記のメリット参照)。
 当院では、
緊急薬以外はすべての薬剤を薬卸に返却するため、薬の在庫は一部の例外を除いて原則的に無くなります。このため、院内処方は出来なくなります。なお、時間外・休祭日の緊急患者には最低限の緊急薬品で対応できるように配慮します。 

Q4 処方箋がなくても同じ薬であれば薬局から貰えますか 

A4 薬剤師は処方箋なしでは調剤することは出来ない規則になっています。このため、
同じ薬でも医師の処方箋が必要です。 

Q5 医師から貰う薬と同じですか? 

A5 
薬剤師は処方箋通りに調剤する義務がありますので、勝手に他の同効能の薬品に変更して調剤することは出来ません。当院の場合は、メーカー品から勝手にジェネリック医薬品(後発品・ゾロ品)に変更されないように、一般薬品名ではなくそれぞれのメーカーの商品名で記載していますので、メーカーを変更することも出来ないようにしています。どうしても変更したい時は事前に当院まで連絡があるはずですので安心してお飲み下さい。平成20年4月からは、残念ながら厚労省は処方箋の様式を変更し、医師の変更不許可の署名・捺印が無ければ、勝手に薬局サイドでジェネリック医薬品に変更が可能となりました。欧米では大手医薬品メーカーやその子会社がジェネリックも製造していますが、日本では独立系の中小ジェネリックメーカーが乱立し、有効成分は同一でも賦形剤や製法で生体内での吸収速度・濃度に相当差のあるのが現実のため、当院ではなるべく信頼性の高いメーカー(ジェネリックも含む)品を隣のワコウ薬局には置いて貰っています。(最終的には、患者さんが決定される権利があります)

Q6 医薬分業になると一部負担金が増加する理由は? 

A6 薬局では、薬歴管理、薬剤の相互チェック、服薬指導などをしっかり行うようにと厚生省では院内処方よりも高い目の調剤料を点数化しています。このため薬局での一部負担金は増加しますが、それだけのサービスは受けられるはずです。 病院・医院での一部負担金は投薬が無くなった分だけ減少しています。 

Q7 薬剤師の説明で薬の副作用が心配になりましたが?  

A7 当院でも、今まである程度は薬の副作用を明記した薬剤情報提供書をお渡ししていましたが、薬剤師によってはさらに詳しい内容で説明される方も多いと思われます。この事自体は良いことですが非常に稀な副作用まで言及されると患者さんは心配になって服薬を中止してしまう可能性もあり得ます。この時は遠慮なく当院までお申し出下さい。当院として再度副作用を含めて薬の説明をさせて頂ますと共に、相手の薬剤師とも話し合いを持つようにいたします。

 

医薬分業に関するホームページリンク集