インフルエンザワクチン (平成22年度版) (平成21年度版はここ)
当院は開業以来、基礎疾患のない健康な子どもさんへのインフルエンザワクチン接種はそれほど積極的には勧めてはいませんでした。 しかし、2004年夏に米国小児科学会のインフルエンザワクチン接種勧告の改訂(健康な小児にもインフルエンザワクチンの接種を勧める内容)に基づいて平成17年度からは、当院も健康な小児(1歳〜)と成人にもインフルエンザワクチン接種を行っています。 インフルエンザワクチンの接種は10月〜1月にかけて、コンピュータ予約で2日前から予約可能です。今年は、昨年のような混乱は無いと予想されるため、事前予約は不要です。 コンピュータ予約で通常通りご予約下さい。ワクチンは9月末に入荷しましたので、10月1日から接種可能となっています。今年は、例年よりも早めにインフルエンザが発生(愛知県の発生状況は、愛知県小児科医会HPを参照)していますので、当院としては早めの接種をお勧めします。薬卸に在庫がある限り打ち続けますが、例年2月下旬には在庫切れになることが多いです。今年は流通量が多いのでまず大丈夫とは思いますが、国家検定などで欠落があれば、事情は異なってきますので、早めの接種をお勧めします。
0歳児は鶏卵アレルギーが不明なこと、日本の接種量は0.1ml/回(外国では0.25ml/回)と少なすぎて効果が期待できないため、当院では接種していません(厚労省の平成22年度インフルエンザワクチンQ&A 問10を参照)。日本小児科学会は接種対象は1歳以上とし、0歳児はその保護者に接種することを勧めています。また、神谷先生を初めとするワクチン専門家もWHOと同じ接種量を採用するように厚労省へ具申されましたが、この量を採用すると製造量が足らないため今年も従来通りの接種量になったとの噂です。
今年は昨年流行した新型A/H1N1pdm株と季節型インフルエンザA/H3N2とBブリスベン株を混ぜて製造されるため、昨年のような新型と季節型の2重接種は不要となりました。また、昨年のような年齢別や基礎疾患の有無による接種制限はありません(読売・朝日 2010/07/29) 。今年のインフルエンザの備え方(ワクチンと治療薬)の最新情報(日経 2010/10/15)を参照して下さい。
インフルエンザワクチンは1歳から13歳未満は2回接種(免疫効果からは4週間の間隔)、13歳以上は原則として1回接種(但し喘息や心臓病などの基礎疾患のある方、免疫状態が落ちている方、場合によっては受験生も2回接種)です。
なお、当院の予防接種の予約枠が限られるため、成人へのインフルエンザワクチン接種は原則として子供さんと一緒に接種の場合のみとさせて頂いています。名古屋市の老人用補助券(1,000円)も当院でも利用可能です。なお、昨年まで流通した健保連愛知連合会のワクチン補助券は、今年は医師会と揉めたため今年のご利用は不可能となりました(当院の接種証明・領収書を会社・健保組合へ提出して還付を受けて下さい)
インフルエンザワクチンは、当院にかかって見える方を優先しますが、他院で接種して貰えなかった時は、本数に余裕がある時は、接種致します。 ただし、治療内容の判る資料(お薬手帳・検査データなど)を必ず持参して下さい。もし、治療経過や投薬内容などがはっきりしない時は、当院での予防接種をお断りすることもあります。
1.インフルエンザワクチンは、鶏卵が製造過程で使用されているため、鶏卵アレルギーのある方は要注意です。インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーショックの発生例が報告されているため、鶏卵アレルギーのある方のインフルエンザワクチンの接種は、万一の事を危惧して当院では申し訳ありませんが、原則としてしていません。緊急事態に対応可能な大きな病院で接種して下さい。 但し、卵白アレルギーのあった子どもさんでも、現在、摂取可能になった方、採血で卵白IgG(RAST)が3+以下の方は十分な問診の上、接種後30分以上待合室で様子観察することを条件に、接種しています。
2.大阪市大(小児科・公衆衛生)や日本小児科学会の調査で、インフルエンザワクチンの小児への有効率は20〜30%程度(成人は50%前後)です。このため、インフルエンザワクチン接種をしても罹ることはあります(朝日新聞のアエラ(2009/10/26)の記事を参照)。日本の注射用製剤は、あくまで重症化防止用であり、感染予防にはあまり効果はありません。
3.欧米では、基礎疾患(気管支喘息など)のある子どもさんに、従来から積極的に接種を勧めています。気管支喘息、先天奇形などで感染症に罹りやすい患者さんには、当院でも積極的にインフルエンザワクチンを接種を勧めています。
4.妊娠中にインフルエンザに罹患すると重症化しやすいため、妊婦・授乳中の褥婦さんにも欧米では積極的に接種を勧めています(CDCガイドラインの2004)(妊娠中・分娩後に新型インフルエンザで重症化した例 NEJM (2009/12/23) )
。当院では念のため器官形成期(臨界期:妊娠初期12週頃まで)を避けて、できれば妊娠12週以降で接種されることを勧めています。しかし、日産婦学会のQ&Aでは妊娠初期も接種可能・チロメサール入りも問題なしとしていますので、希望されれば12週前でも接種致します。より安全性の高いチロメサールフリー(予めディスポ注射器に装填済)の妊婦用インフルエンザワクチンが特別に製品化されていますが、生産量は少なく(今年は当院では60本確保)、当院では10月8日より接種開始していますが、無くなり次第、チロメサール入りの通常品での接種となります。 チロメサールフリーのワクチンを希望される妊婦さんは早めにご来院して下さい。 当院で妊婦健診を受けている方は優先的に接種し、妊婦健診時に接種可能です。他院を受診中の妊婦さんも、その医療機関での接種不可能な場合には当院でも接種可能です。但し、今回の妊娠で使用中の母子健康手帳と接種依頼状を必ず持参して下さい。
ワクチンの料金は昨年と同様に、新型インフルエンザが含まれるため、国の法律・指導により各地方自治体毎に価格が統一されました (読売・朝日2010/07/29) (朝日新聞2010/09/22)
名古屋市の統一料金の決定内容についてはここ(PDF)。この料金を守らない医療施設は、予防接種法による健康被害救済を受けられない可能性があるため、当院も遵守せざるをえません。 例年に比し今回の統一料金は当院としても高めと思っていて心苦しいですが、ご理解下さい。
統一料金@名古屋市内 |
接種費用 |
1回目の接種 |
3,600円 |
2回目の接種で、1回目のと同じ医療機関で接種した時 |
2,550円 |
2回目の接種で、1回目と別の医療機関で接種した時 |
3,600円 |
診察により接種不可能と判断された時
(体温測定のみでダメになった時は頂きませんが、医師が診察・説明をした時は徴収されます) |
1,790円 |
平成22年 9月 5日 初版作成
9/28, 10/6、10/18、10/31、11/14、12/30 一部修正